理事長所信

~ 矜持を胸に志高き開拓者となれ ~

はじめに

 現代経営学の父と言われるピーター・ドラッカーは、組織発展の条件として「継続」と「変化」がともに必要であると述べている。一見すると相克する言葉だが、どちらか一方だけが実現できても組織の未来はなく、この均衡を保つことが重要と言うことだ。これは青年会議所の組織においても同様である。
 私は「継続」とは信念と志に基づく伝統力であり、ここで言う「変化」とは革新力であると思っている。
 長野青年会議所(以下長野JC)の伝統力とは何か。1953年、僅か25名の青年が強い信念のもと長野JCを創設して以来、明るい豊かな地域の実現を志し66年もの間、変わることなく時代の先駆者として情熱を燃やし走り続けてきた力に他ならない。いま67年目に立つ我々は、この絶やすことなく燃え続けるヤングブルーの精神の伝承者として歴史への理解を深め、その伝統に誇りと自信を持ち、自らの手で未来を切り拓いていく使命がある。
 しかしながら、高い志と強い信念を持って運動に邁進する我々を取り巻く環境は「激動の時代」と言われて久しく、その変化の速さは年々加速しているように感じる。志は決して変わらずともこれまで以上に変化が求められているのである。だが我々に求められる変化とは時代に合わせた変化ではない。時代を先駆けて変化を生み出す革新が必要なのだ。まちを変えるためにはまず自らが変わらなければならない。伝統を受け継ぎながらも、過去の継続だけに甘んじることなく勇気を持って革新を起こすことが、新たな価値を生み出し、このまちの未来を照らす光明となると私は確信している。
歴史と伝統に誇りを持ち、自らを信じて革新を起こす志高き開拓者となろう

災害からの復興

 2019年の台風19号による豪雨で千曲川の堤防が決壊し、長野市はかつてないほどの大きな被害を受けた。今後も被災者の避難生活の長期化や生活再建への課題も多く、また様々な産業への経済的影響も懸念されている。地域が苦難に直面している今だからこそ我々にできることがあるはずだ。長野JCの情熱と行動力を基に行政や他団体と連携して復興支援の活動を能動的に行うことで、一日も早く市民が日常の生活を取り戻し、明るい未来を描くための光明となろう。またこの災害を契機に災害対応のマニュアルや行政との連携について改めて見直し、今後の災害対応策や防災対策についても検討していきたい。

組織の根幹

 昨今、様々な企業や団体の社会的な信頼を失墜させる不祥事や騒動が後を絶たない。組織のコンプライアンスに対する意識やリスク管理、また個人の倫理観や道徳心が問われている。組織の大前提として必要不可欠なのは規則に基づく健全な運営である。長野JCはこれまでの長きにわたる運動により行政や市民からの信頼を得てきた。これからも信頼され、まちを牽引する団体であり続けるためには公益社団法人として様々な規則を遵守し、適正な会議運営を行うとともに財源が適正に使用され効果的な成果が得られているかを厳正に審査することが組織の根幹を支える重要な役割である。全ての事業はその上に成り立っていることを全メンバーが正しく理解し携わることで、さらに強固な組織運営ができるはずだ。また規則を遵守しながらも柔軟性を持って時代を先駆ける組織運営の手法を見出していきたい。一方で、組織を構成するのは一人ひとりの個人である。規則は個人の倫理観、道徳心の上に成り立っている。全メンバーが良識ある地域のリーダーとして規範となる自覚を持とう。

情報に想いを

 インターネットはもちろんSNSの爆発的な普及により身の回りに膨大な情報が氾濫する時代となった。情報は社会活動の中心となり我々はその多くの情報を取捨選択しながら生活をしている。一方で我々が情報を発信する立場になった時、ただ漠然と情報を発信していては伝えたい相手に必要な情報を伝えることは難しい。誰に、何を、なぜ伝えたいのか、と言うことを明確に意識して発信することが必要だ。明確化することにより無数にある伝達手法から効果的な手法を選択することができるだろう。また表面的な情報だけでなく、そこに至る背景や目的と言った想いを伝えることが重要である。情報に想いをのせることで相手の心に強く伝わるメッセージになるはずだ。さらに高度情報化社会と言われる現代は情報漏洩や権利の侵害、信憑性のない情報が拡散するといった問題が指摘されている。信頼ある組織として適切な情報管理と正しい情報発信にも努めていこう。

義務から価値ある権利に

 例会を見ればそのLOMがわかる。例会の作り込みや発信内容、雰囲気、メンバーの参加数、参加姿勢などの様子は例会に限らず他の事業の様子までも感じ取れてしまう。つまり例会はLOM事業の基本であると言えるだろう。だからこそ例会の意義や目的を全メンバーが共通認識をもつ必要がある。そして例会の運営側は目的を明確に持ち、工夫を凝らし、想いを込めて参加者に必ず何かの気づきを与える気概を持って構築や発信をしてほしい。知恵を絞って内容を構想し準備に時間をかけて真剣に取り組むことで運営側にとっても大きな学びや成長の機会となり、委員会の結束や友情をさらに深めることができるはずだ。また参加する側も仲間として運営側の想いを汲み取り、必ず意義のある時間にする気概を持って参加してほしい。同じ例会内容でも参加する者の姿勢で得るものは少なくも多くもなるはずだ。言うまでもなく例会は義務出席であるが、義務であると同時に全てのメンバーに与えられた権利でもある。その権利を一人ひとりが価値あるものにしなければならない。全メンバーが一同に会し、顔を合わせて想いを共有する例会の機会を大切にしよう。

挑戦する機会

 自己評価をする時には必ず比較対象が存在する。己しか見えていなければ己の長所短所も見えずその先の成長は期待できない。自分自身の現状、長野JCの現状、長野のまちの現状に気づかせてくれるのが出向と言う機会だ。そして出向は自らを成長させる機会に溢れている。様々な地域のメンバーとの出会いやスケールの大きな事業は長野JCだけでは得ることができない貴重な経験だ。また外に出ることで自らのまちや長野JCを客観的に見ることができ、強みや課題も見えてくるはずだ。昔から地域を変えるのは若者、馬鹿者、よそ者だと言われている。我々は若者であり、ある意味馬鹿になってまちづくりに取り組むことができる。出向と言う機会を通じてよそ者の感覚を得ることが、さらにより良いまちづくりに繋がるだろう。地域を離れての活動は多少の負担を感じることもある。しかし、それ以上の革新的価値を見出すことができるはずだ。だからこそ能動的に出向と言う機会に挑戦してほしい。そして果敢に挑戦する出向者を支援したい。出向者は必ず長野JCやまちに好影響をもたらすからだ。全メンバーがその意味を理解し、気持ちをひとつに出向と向き合おう。そして出向者を応援するとともに、その学びに触れる機会に積極的に参加していこう。

全国大会招致と言う挑戦

 2013年に発表された60周年未来ビジョン、それに続く2014年の長期ビジョンの中で全国大会の招致が掲げられ、2019年に第72回全国大会招致の総会決議が可決された。具体的な招致が総会で決議されたことによって、これまで議論を重ねてきた招致運動を実行に移す時が来た。全国大会招致において重要なことは、全国大会はあくまでも手段であると言うことだ。全国大会を通じて一人ひとりが学び、成長し、長野JCの魅力を高め、このまちにさらなるインパクトを与えるきっかけにしなければならない。これまで掲げてきた未来ビジョンやLOMの現状、まちの現状を考えても今こそ全国大会招致に最善の時だと感じている。そして私は自らの経験をもとに客観的に長野JCを見る中で、これまでの様々な事業構築やメンバー一人ひとりの素質は全国大会を主管するに十分な力があると確信している。それはメンバーの潜在的な資質の高さはもちろん、長野JCの伝統の中で培われているものでもある。だからこそ長野JCへの誇りとJAYCEEとしての自分自身に自信を持って全国大会招致への道を歩んでほしい。招致への負担感やLOM内の課題から未だ不安を抱えているメンバーがいることも事実である。しかしながら総会で決議されたと言うことはLOM全体で協力し、一丸となって招致運動に取り組まなければなない。全国大会招致に挑戦できることは貴重な機会であり無限の可能性がある。その可能性をどう形にするのかは、私たちの手にかかっているのだ。矜持を胸にメンバーが心をひとつにして長野JCとこのまちの未来を思い描き、全国大会招致に挑戦しよう。

意識改革のために

 全国の青年会議所で会員減少は大きな課題となっている。これは比較的会員数の多い長野JCも決して例外でなく危機感を感じている。青年会議所運動において数は力である。多くの仲間がいると言うことは、それだけ多くの出会いや多くの価値観に触れることができる貴重な財産だ。また大規模で多様な運動が展開できることは自己成長の機会を豊富にもたらし、まちに対しても存在感や影響力のある団体として運動を広く伝播することができるのだ。しかしながら20歳から40歳と言う年齢制限のもとで毎年新陳代謝を繰り返し、組織の鮮度を保ちながらそれを維持するのは容易なことではない。後継者不足や若者の人口減少が進む現状は周知の事実であるが、このまま社会の情勢にただ流されていては長野JCの未来はない。我々は市民の意識を変革し、未来の明るい豊かなまちの実現のために運動を発信し続けなければならないのだ。そのためには全メンバーが危機感と当事者意識を持って長野JCの魅力を発信していくことが必ず求められる。メンバー一人ひとりが青年会議所運動の意義や目的を改めて見つめ、自らの言葉で語ることができるJAYCEEになろう。意識を改革し指導力開発と社会開発を推進することが、会員拡大が青年会議所運動そのものだと言われる所以である。まちの未来を担い組織として成長するために青年会議所運動を邁進しよう。

未来をつくる心を育てる

 少子化、核家族化、情報化、国際化と言った社会の急激な変化を受けて、人々の価値観や生活様式が多様化している一方で、人間関係の希薄化、地域社会のコミュニティー意識の衰退、過度な経済性や効率性を重視する傾向が見られている。そのような背景から小中学校では昨年より道徳の教科化が実施されたが、学校の授業だけでなく、本来子どもの心を育てる家庭や地域のあり方が問われている。どんなに時代が変わっても子どもが地域の宝であることは決して変わることはない。家庭の「しつけ」だけに任せることなく地域社会で子どもの心を育て、子どもが地域の愛情を感じ成長する環境をつくることが必要なのだ。さらに今後は外国人をはじめとした多文化や性別、価値観、障がいと言った多様性を受け入れる社会がますます進展していく。子どもたちは共生社会の中で相互理解を深め、自ら考え協働してく力を養わなければならない。多様性を受け入れられる子どもの教育も心を育てることに他ならない。今年開催される東京オリンピックパラリンピックに関心を持ち積極的に関わることはその絶好の機会となるだろう。我々は地域の大人として、責任世代として明るい豊かな地域の未来をつくるために子どもと真剣に向き合い行動しよう。

地域の未来を描く

 2015年9月に開催された国連サミットにおいて2030年までに達成すべき持続可能な開発目標としてSDGsが採択された。青年会議所でも昨年からSDGsの取り組みが強まっているが、今や地域の未来を考える時にSDGsは不可欠であり、むしろその考えを取り入れることができなければ時代に取り残され将来的に消滅の危機に立たされる恐れすらあると言えるだろう。日本政府としても地方創生におけるSDGs推進の取り組みとして「SDGs未来都市」を選定しているが社会、経済、環境の3つの側面から持続可能性を評価している点は地方創生について具体的で重要な方針を示していると言える。我々長野JCも地域の未来を創造する団体として、SDGsの考えから目指すべき長野の未来を描き発信していくことが必要だ。長野JCにはこれまで長きに亘り培ってきた運動の精神と60周年に掲げた未来ビジョンや具体的な指針を示した65周年未来ビジョンを持っている。このような長野JCが有する資産と推進すべきビジョンをSDGsと組み合わせることでさらなる価値や可能性を見出し、より確かな未来を描けるはずだ。またSDGsでも示されているように長野JCとしてもパートナーシップの強化は必要不可欠である。他団体と連携、協働することで我々が描く地域の未来実現に近づけるための運動を推進しよう。

多文化共生と民間外交

 訪日外国人は年々増加し、昨年施行された改正出入国管理法により今後在留外国人もさらに増加することが見込まれる。さらに今年は東京オリンピックパラリンピック開催に伴い、かつてないほどの外国人が日本を訪れるだろう。長野においても長野駅を中心として多くの外国人観光客が訪れている現状を肌で感じることができる。急激に国際化が進む中でそれを受け入れる我々は異なる文化や習慣を受け入れ、相互理解と共生意識を高めていくことが必要だ。長野市は長野冬季オリンピック開催以来、国際都市としてのOMOIYARIやボランティア精神が根付いている。今後さらに多くの外国人が訪れやすい、暮らしやすい、働きやすい環境を創出することがまちの発展に繋がるはずだ。我々はそのために知識や感性を身に着け国際化を推進するリーダーとして行動しよう。また昨年ソウル江北青年会議所と姉妹締結40周年、台中國際青年商会と友好締結50周年を迎え、今年度は新たな一歩を踏み出す時となる。国際情勢、特に日韓関係は解決の糸口が見えないほど悪化しているが、このような時こそ我々が民間外交の担い手として力強く交流を推進しなければならない。国家間の政治的問題があろうとも我々が長年に亘り強く結んできた友情は決して変わることはないはずだ。次の10年、さらにその先に繋がる確かな交流を推進しよう。

門前町の光が持つ可能性

 長野冬季オリンピック開催以降、その精神を後世に残していくイベントとして開催されてきた長野灯明まつりは、これまで16回を数え、毎年様々な工夫を凝らしながら市民や観光客に光を通して平和への想いを発信している。回を重ねることにより市民への認知が広まり観光資源としても広くその魅力が発信されており、今や長野の冬に無くてはならないまつりに成長してきたと言えるだろう。さらなる可能性として過去に提言された未来ビジョンの中ではウィンタースポーツとの連携も提唱されている。また近年長野市近郊のスキー場や温泉地へ訪れる多くのインバウンド客を長野市中心部へ誘引する契機としても大きな可能性を秘めたまつりであると考える。一方で財政面や運営面での課題は山積しており、長年に亘り議論が重ねられているものの抜本的な解決には至っておらず、今後の開催継続も危ぶまれる現状にある。もはや、これ以上この課題を先送りにすることはできない。課題を真正面から受け止め真剣に取り組み、長野JCだけでなく市民や団体を巻き込んで作り上げる長野の冬を代表する祭典へと昇華するために、多くの可能性を秘めたこのまつりに革新を起こそう。

50年の歴史とまつりの力

 国宝善光寺で1400年燃え続ける不滅の常灯明を採火し開催される長野びんずるは長い歴史を重ね、長野の夏の風物詩、市民祭となった。そして今年は記念すべき50回を迎える。長野びんずるの前身である「火と水と音楽と若者たち」から半世紀以上に亘り先達が築き上げたこの歴史に感謝と敬意を表し、その想いを未来に繋ぐまつりを作りあげなければならない。また、まつりは地域の人と人の繋がりを強め、市民の郷土愛を醸成する貴重な機会である。まつりが大きく熱いものになるほど、その要素も比例して大きくなると感じる。だからこそ「市民総和楽・総参加」の言葉通り、多くの踊り手が参加することはもちろん、観客も同様に楽しめる機会を創出し、さらに多くの市民が集まるまつりを実現したい。そして我々はまつりの持つ可能性を探求し、一過性でなく継続的に地域活性化を実現するまつりの持つ力を再認識し、力強く運営に取り組もう。

結びに

 私は「温故知新」と言う考えをとても大切にしている。変化を起こそうとする時、過去の歴史や伝統を学び、その意味を考えることから始めることが重要且つ最善の策を得る近道であると信じているからだ。

革新とは新しい価値を創造することである。新しい価値を生み出すためにはまず過去から学び、知識を深め、現状を見定めることが必要だ。そして最も必要なのは青年としての情熱と柔軟な発想である。情熱を持って取り組み、議論し、青年らしい発想と行動を起こすことで我々だからこそ創造できる新しい価値が生まれるはずだ。青年として取り組めるこの時を大切に、自信を持って青年らしく挑戦しよう。

新しい価値を生み出し、この長野のまちの未来を切り拓いていこう。

 

革新~矜持を胸に志高き開拓者となれ~

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